猫のしつけについて

 猫にもしつけがあります。猫をしつける際に勘違いされがちなのが、猫と犬のしつけを混同してしまい、より認知度が高い犬のしつけを猫にも適用してしまうというものです。しかし、猫と犬のしつけは違います。なぜならば、犬と猫では脳化指数、つまり頭の良さが違うため、学習能力も違うからです。
 脳化指数とは脳の重量を体重の3分の2で割り、係数をかけた値のことであり、この数値が大きければ大きいほど賢いということになります。ちなみに頭が良いとされている動物の脳化指数を見てみましょう。

ヒト0.86
イルカ0.64
チンパンジー0.30
カラス0.16
イヌ0.14
ネコ0.12


 このように比べてみると、一般的に頭が認識されている猫も、人間に比べればはるかに脳化指数は低く、犬よりも低いことがわかります。犬には適しているしつけであっても、猫には適さないことはここに由来しています。そして、犬に比べてしつけに時間と労力が必要になるということを覚えておきましょう。

 猫の学習方法は2パターンに大別されます。それは「古典的条件付け」と「オペラント条件付け」というものです。それぞれの意味は以下の通りです。
古典的条件付け
 刺激と感情が結びつくことで学習をします。その刺激が快でも不快でもない場合でも反応を示します。たとえば、子猫のころにカラスにかまれたことによって黒い鳥にはすべて恐れるようになる、動物病院で注射をされたことによって白衣の人間を見ると恐れるようになるなどというのが古典的条件付けに当たります。
オペラント条件づけ
 自分の行動によって快や不快の感情を経験することによって、行動に影響が出ることです。たとえば大人しくしていたら撫でてもらえた、だから積極的に大人しくなる。鳴きやんだらキャリーから出してもらえた、だから鳴かなくなる。柱で爪を研いだら水鉄砲で撃たれた、だから柱で爪をとぐのをやめる。
これがオペラント条件づけの具体例です。
 また、猫は食に対する執着が非常に少ないという特徴もあります。犬はこれと真逆で食に対する執着心が強く、目の前食べ物があればとにかく食べるという習性があります。しかし猫は気に入らない食べ物を出されれば、たとえ空腹でも口をつけようとはしません。なかには食べたくないものを出され続けた結果、餓死してしまう猫もいるほどです。
 これも犬と猫のしつけの大きな違いとなります。犬はしつけの際にご褒美としておやつを使うと、それを食べたい一心で必死に学習をします。しかし猫の場合にはそうはいきません。たとえ猫の好きな食べ物で誘導することができても、犬に比べて数倍の労力が必要となるでしょう。ご褒美におやつを用いるしつけは、猫にとっては非効率的なものであることを知りましょう。
 もう一つ、犬との大きな違いがあります。それは褒められることに対する反応です。犬はもともと集団で狩猟を行う動物であり、社交性が高いため、褒められること、つまり仲間から認められることに大きな快感を覚えます。褒められることは集団に受け入れられたことを意味し、それは自分が生き残っていくために重要な意義を含みます。
 これに対して猫は単独で狩猟を行う動物であり、社交性が低いため、褒められるということに対して意味を感じません。単独で生きる猫にとって、他の個体から認められることが生き残るために有利になることだという思考回路が存在しないのです。
 猫が褒められてうれしそうにしているならば、それは認められた、褒められたということに対して喜びを感じているのではなく、自分に関心を向けられた、撫でられて気持ちがいい、ご褒美に遊んでもらえるなどということを喜んでいるだけなのです。
 したがって、犬をしつける際にはとにかく褒めて褒めてしつけることが大きな効果を示しますが、猫の場合には褒めてもほとんど意味をなしません。

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